「ラグい」とは?(意味・起きる現象)
POINT:eスポーツでの「ラグい」は、操作がサーバに届くまでの遅れや同期ズレにより、画面上の反応が遅く感じる状態。
Q(360編集部):「ラグい」という言葉をeスポーツではよく聞きます。プレイヤーの視点から、その意味や影響を教えてください。
佐藤氏
eスポーツではどのジャンルでも通信回線の速さと安定性が重要になります。オンライン上で実施されるものであれば、対人でも、対コンピューターでも、状況判断やアクションのすべてに「速さ」が求められます。
その中で、ラグ=遅れの発生は大きなハンディキャップとなり、プレイに大きく影響します。
生徒たちも、海外サーバなどのいわゆる「ラグい」環境でプレイした際には「敵を倒しにくい!」「プレイしていて違和感がすごい」などと言っていました。自身にラグがある状態でラグのない相手とプレイすると、理不尽に感じる倒され方をするシーンや、自分の入力が反映されず反撃をくらってしまうシーンもあるので、プレイとメンタルに大きな影響を及ぼしますね。
「ラグい」と「重い」の違い
POINT:「ラグい」は操作の反映が遅れる状態を指し、「重い」は動作が不安定で巻き戻り(ロールバック)やカクつきが出る状態として使われることがあります。
Q:似たシーンで使う「重い」という言葉があります。その違いとは?
佐藤氏
どちらも通信の動作環境に関する場面で使用され、スムーズに動作しない状態を表しますが、「重い」というのは通信回線が何らかの理由により非常に不安定な状態になってしまっていることを指します。
この場合は、ロールバック(自分が移動した入力がサーバに届かず、強制的にもとの位置に戻されること)が発生したり、動作自体が不安定になってしまったりします。
どうしても多くの人がプレイをしているゴールデンタイムには回線が混雑して重くなってしまう場合もあるので、eスポーツを快適にプレイするためには、回線選びは欠かせない要素です。
元プロeスポーツプレイヤーとして競技の最前線に立ち、現在は教育現場でも次世代プレイヤーを指導する佐藤氏。
その実体験からは、「ラグい」という感覚的な言葉の裏側に、操作の反映の遅れという具体的な現象が存在し、プレイ中の快適さや勝敗にまで影響を及ぼしていることが明らかになりました。
ここからは、NTT東日本にて「フレッツ光」のサービス開発を担当する加納宏明氏に話を伺い、「ラグい」が発生する原因を宅内環境・回線・サーバという観点から整理し、今すぐ実践できる対処の考え方を技術的な視点から解説します。
ラグが発生する主な原因(宅内/回線/サーバ)
POINT:ラグは「宅内→回線→サーバ・外部経路」の順で疑い、切り分けると原因に早くたどり着きます。
Q:回線開発の立場から、ラグの発生する要因について聞かせてください。
加納氏
ラグが発生する原因は様々です。主な原因は回線事業者やインターネットサービスプロバイダ側での問題と、利用者の宅内環境の問題に分けられます。
混雑などの影響でPing値やJitterが不安定になり、遅延やパケットロスが発生すると、「ラグい」と感じることにつながります。
いくら高速回線を利用していても、不安定なJitterやロスが改善しなければ体感は変わりません。
ラグが起きたときの対処法(今すぐできるチェックリスト)
POINT:切り分けは「宅内→回線→サーバ」の順。どんな状況でラグが発生しているかを特定することが近道です。
Q:ラグが発生した際に行うべき対応とは?
加納氏
ラグ発生原因の切り分けは「宅内→回線→サーバ」の順で、進めるのがおすすめです。
まずはルーターやLANケーブル、無線機器等の宅内環境を確認。次に回線のスペックやインターネット接続方式、事業者側の混雑状況をチェック。最後にプレイしているゲームのサーバ環境や外部要因を疑います。
宅内環境は、ルーターの実効スループット・IPv6対応・最新のファームウェア適用、ハブのGbE・全二重・バッファ、PCのスペック・NIC・省電力・バックグラウンド抑制、LANケーブルのカテゴリー(Cat6以上が推奨)などを条件として確認してください。
すぐに回線やサービスを原因と決めつけず、着手できる範囲から改善を進めていけば、ラグを解消することができるかもしれません。
「ラグい」の正体が見えてきたのではないだろうか。「ラグい」は、特定の原因ひとつで起きるものではなく、宅内環境・回線・サーバなど複数の要因が重なって発生します。
そのため、切り分けの考え方を知り、順を追って環境を確認していくことが重要です。
原因を冷静に見極められるようになれば、不要なストレスを抱え込まず、安定したプレイ環境を維持することにもつながるはずです。
こうした対応力を身につけることも、eスポーツスキルを高めるうえで欠かせない要素と言えます。
※ラグ発生時の対応方法や結果は、それぞれの利用環境により変動します。